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本物のお弁当


土曜日の知花ゴルフ場でのファーマーズ・マーケット、日曜日のコザ・空中タウンにダイハチマルシェが出店し、30種類を超える有機無農薬野菜と、プレミアム紅豚お弁当を販売しました。(http://www.trinityinc.jp/updated/?p=3531)特にプレミアム紅豚お弁当は本当に大人気でした。

昨日は初めの2時間そこそこであっという間に完売。多めに予想していた筈の量が、フタを開けてみればまるで足りなかったので、一旦仕込み直して夕方から再開。これも2時間足らずで売り切れです。


実はレシピ自体はそれほど特別なものではありませんでした。驚くほどのおいしさの、恐らく8割は素材にあります。過去5年間ほぼ毎日、メニューを変え、素材を変え、調味料を変え、全国各地や世界中から様々な食材を取り寄せて楽しく調理しながら、長い時間かけて厳選した素材だけを使っています。


そんな訳で、私は過去5年間殆ど同じメニューを食べたことがありません。本当においしい料理とは何か?質の高い食事とは何か?どのような要素がそれを決めるのか?それがどのようにすれば人に伝わるのか?沖縄を質の高い観光地に再生するために、どうしてもこれらの問いへの答えを知りたかったのです。


沖縄で商業的に流通する最高品質の紅豚は、冷凍ものではなく、数日前から注文していた新鮮な冷蔵もの(もっとも、後半は売り切れてしまい一部冷凍を提供しています)。料理において非常に重要な油は、1リットル1200円の非遺伝子組み替え菜種の一番搾り(ムソー)を使いました。


これも本当に色々な油を試しましたが、これに匹敵する水準のものは多くないと言う印象です。料理における油は実に重要で、少しでも質の悪い油を利用したり、使い回して酸化し始めた油を利用すると、いくら高級な素材を使っても、味が台無しになるだけではなく、体にとても悪いものです。


調味料は、有機しょうゆ、沖縄の海水塩、粗糖(上白糖は「攻撃的」な味に感じられて、料理には殆ど利用しません。)。醤油はできるだけ小さいボトルのものを購入すると鮮度を保ちやすいです。封を切った瞬間の醤油と使いきりの後半の醤油とは、普通の市販のものでさえ香りがまるで違います。


最近は、高級、手作り、こだわり、匠のしょうゆなどと表示されているものでも、コストを下げるためにアルコールが混入されていたり、本当にひどいものです。はっきりしているのは、高価な醤油が良いものとはかぎませんが、安い醤油は確実に劣悪なモノだということです。


生姜焼きには宮崎県萩原農園の有機無農薬根生姜を使用しました。萩原さんの有機生姜は一般的な慣行栽培のものと比較して、りんごに近いフルーティさとスパイスに近いパンチを兼ね備えており、私のお気に入りの産品です。沖縄産生姜は根生姜になるまであとまだ数ヶ月を要するため、今回は見送りました。


農家と農業に深く関わって確信したことは、有機農産物の品質は生産者の人格と情熱と愛情に大きく影響を受けるということ。毎日ダイハチに納品されてくる農産物を見て、農家の精神状態が分かるくらいです。「あ、迷っているな・・・」「意識が前向きに切り替わったな・・・」と言う感じ。


お米は、今や多くの人が日本一と認める、岐阜県下呂温泉産の「龍の瞳」。私たちの仕入原価で10キロ1万円を超えるのですが、たっぷり一人分一合盛り合わせました。このお米は数々のコンクールで何年も連続して金賞を受賞し、いまや入手することが非常に困難になっています。


質の高いお米を活かすために、お米研ぎや炊飯に際して一般的な水道水は一切使用していません。このお弁当は水も重要な素材の一つです。ごはんにふりかけたごまも、もちろん有機無農薬栽培の炒りごまです。こんな小さなことですが、細部に手(と原価)を抜かないで作る料理はまるで別物になります。


例えば、タレに絡ませる前に紅豚に小麦粉をまぶしているのですが、この小麦粉はやはり数々の種類を試した結果選んだ北海道産の有機栽培小麦です。一般的な料理人はこのような「見えない」部分にまで力を入れないのですが、ここでこの小麦を使うかどうかで、料理の豊さがまるで違ってくるようです。


プレミアムお弁当で初めに決めたことは、利益を確保するという理由で原価を一切下げないということ。まず、今の自分の力でできる限り最高品質のものを作る。儲けるための弁当なら作らない方がまし。でも1食350円のお弁当が一般的な沖縄の市場で、1200の価格設定に一瞬躊躇したのは事実です。


一回きりのイベントで在庫は持てないし、まったく初めてのイベントで顧客の反応がまったく想像できない。当日は雨が降ることも分かっていました。しかし、私たちは普段から、これがどれだけおいしいものかをよく分かっていましたし、沖縄で提供される一番おいしいお弁当だと確信していました。


結局沖縄の常識ではあり得ない原価になる訳ですが、私たちの予想に反して、お客様はまったく躊躇なくこのお弁当を選んでいらっしゃいました。利益を追わずに、結果として十分な利益が生まれました。


嘘だらけの社会の嘘だらけの商品の中で、誠意を持って本物を提供することがどれだけ勇気を要することかは、私もよく分かっています。しかしながら、一切の妥協をせずに、誠意と愛情を持って品質を追い続けることが、本当に意味のある結果を生み出す唯一の方法だということは厳然たる事実なのです。


今回有機野菜とプレミアムお弁当を販売して、はっきり分かったことは、皆、本物が大好きだということです。我々事業者はもっともっと消費者を信頼してよいと思います。本当に心を尽くせば必ず認める人がいる、それもたくさん。そんなことを改めて教わった週末でした。


2011年11月21日 樋口耕太郎のツイッターより

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